「もう我慢慣れたよ」に涙した日

借金体験談
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長年の借金生活の中で、我慢することは日常になっていた。
欲しい物を諦めるのも、行きたい場所を我慢するのも、当たり前になっていた。
でも、その「慣れ」がある日、思わぬ形で自分を揺さぶった。

我慢が日常になった理由

借金を抱えてから、真っ先に削ったのは自分のための出費だった。
外食はほとんどなくなり、洋服も数年前から同じものを着続けた。
家族と過ごす休日も、ほとんどが家の中。
節約は生活の一部になり、我慢は当たり前の習慣になっていった。
最初はストレスだった節約も、数年経つ頃には感情すら動かないほど慣れてしまった。
何かを諦める時、「仕方ないな」と思うだけで、悔しいとも感じない。
これは生き延びるための術でもあった。


心を揺さぶった小さな出来事

ある日、仕事帰りにスーパーへ寄った。
入り口近くに、小さなケーキ屋の移動販売が出ていた。
色とりどりのケーキが並び、見ているだけで気持ちが華やぐ。
値段は一つ400円ほど。昔なら迷わず買っていただろう。
でも、その日は何も感じずに通り過ぎた。
帰宅途中、ふと気づく。
「ああ、自分はもう、欲しいとすら思わなくなったんだ」と。
その瞬間、胸の奥がズキンと痛み、気づけば涙がこぼれていた。
我慢が身に染みつき、欲望やときめきを押し殺すことに慣れてしまった自分。
そのことが急に怖くなった。


転機をくれた気づき

家に帰り、静かな部屋で考えた。
確かに我慢は借金返済には必要だ。
でも、それと引き換えに「心の豊かさ」を失っていたのではないか。
お金がないから欲しがらないのではなく、欲しがらないことで自分を守ってきた。
でも、それは同時に「小さな幸せ」を感じる力を奪っていた。
この気づきが、僕の行動を変えた。
無駄遣いではなく、心を満たすための小さなご褒美を生活に取り入れることに決めたのだ。


行動と結果

まずは月に一度だけ、自分や家族のために小さな贅沢をする日を作った。
たとえば、コンビニの新作スイーツを買う。
スーパーで少し高めの果物を買ってみる。
それだけでも、不思議と心が軽くなった。
さらに、我慢一辺倒だった生活に少し余白ができたことで、節約も以前より続けやすくなった。
「全部我慢」ではなく「選んで我慢」する意識が生まれ、生活のストレスが減った。
結果として、無駄遣いは増えず、返済計画にも影響はなかった。


まとめとメッセージ

我慢は生きるために必要な力だ。
しかし、それが習慣になりすぎると、心の感情まで削ってしまうことがある。
僕の場合、たった一つのケーキを前にして涙が出るほど、自分の感情が鈍っていた。
借金や節約に悩んでいる人へ伝えたい。
必要なのは、ただ我慢し続けることではない。
心が喜ぶ瞬間を、ほんの少しだけでいいから生活に残してほしい。
小さな幸せを感じる力は、生きる力そのものだからだ。