はじめに――「無料×日本語×PC」でどこまで行ける?
「スマホのCapCutは知っているけれど、パソコン版でAI機能を本気で使ったことはない」。
おそらく多くの人が同じ感覚ではないでしょうか。私は“動画編集を副業の武器にしたい50代”の立場から、PC版CapCutのAI機能をひとつずつ検証しました。結論から言うと、無料の範囲でも“副業で使える一本”を出せるレベルです。
この記事では、“操作の手順→検証方法→結果→改善ワザ→副業での使い所”の順で、実戦的にまとめます。
検証環境と前提
- 編集ソフト:CapCut(デスクトップ版・日本語UI)
- 用途想定:ブログの補助動画、YouTubeショート、資格学習(乙4)解説、商品・サービス紹介
- 素材:自撮りトーク映像(室内)、画面録画(ソフト操作解説)、商品物撮り、街歩きBロール
- 方針:まずは“無料でどこまで可能か”。有料が必要な場面は注意点として明示
ここからは「触れば再現できる」順で解説します。
1. 自動字幕(音声→テロップ)
何ができる?
動画の音声を解析し、自動で日本語の字幕を生成します。生成後に誤字を直して整えるだけで、読みやすいテロップが付きます。公式の案内でも“Auto Captions/Auto Subtitles”として提供されています。CapCut+1
手順(PC版)
- 音声入りのクリップをタイムラインへ → 右側パネル(または上部メニュー)から自動字幕を選択
- 言語を日本語に設定して実行
- 生成された字幕をダブルクリックして微修正(固有名詞・数字)
- 書体は“読みやすさ最優先”(白文字+黒縁orドロップシャドウ)
検証ポイント
- 短文×はっきり話す:精度が高い
- 長文×早口:助詞の落ち、読点の位置ズレが出る
- 固有名詞:ひらがなで発音を合わせるか、辞書登録(ユーザー辞書)で安定
改善ワザ
- 句読点を意識して話すと、字幕の改行位置が自然になる
- 地名/商品名は読みやすい表記へ直す(例:「乙4」→「おつよん」など)
副業での使い所
- ブログ要約動画の字幕作成(無音でも伝わる)
- 乙4など資格学習動画の黒板代わり
- 商品紹介のスペック箇条書きをテロップで
メモ:一部の環境では自動字幕の提供形態や範囲が変更されることがあります。必要に応じて最新版の仕様をご確認ください(CapCut公式ヘルプやアプリ内表記を参照)。
2. テキスト読み上げ(Text to Speech)
何ができる?
文章を貼り付けるだけで日本語音声のナレーションを生成。スピード・ピッチ調整も可能です。公式の“Text to Speech”として案内されています。CapCut+1
手順
- 「テキスト読み上げ」を開き、台本を貼り付け
- 声質(男性/女性)と話速(0.95〜1.05が自然)を設定
- 生成→音量は**-6〜-9dB**、BGMは**-18〜-12dB**に下げると聴きやすい
検証ポイント
- 句読点・三点リーダで“間”を作ると自然度UP
- 英数字は“えいびーしー”よりアルファベット読みの方が伝わる場合あり
- 専門用語はひらがな表記で読み間違い回避
改善ワザ
- 文末を「です。」→「です。」+改行で語尾ブツ切れを軽減
- 長文は1文=1クリップに分け、微妙な間を手で調整する
副業での使い所
- 自分の声出しに抵抗がある場合の代替ナレーション
- ブログ本文の音声化→ショート動画への展開
3. 背景除去(人物の切り抜き)
何ができる?
動画内の人物をワンクリックで切り抜く。クロマキー不要。PC版でも“Remove BG/Auto Cutout”が使えます。CapCut+1
手順
- 人物の入ったクリップを選択
- 右側の編集パネルで背景除去/Remove BGをオン
- エッジ(縁)やスムージングを微調整、下に背景画像/動画を敷く
検証ポイント
- 髪の毛・眼鏡・透明物は難易度高め(縁がちらつく)
- コントラストが低い背景(白壁+白い服)は抜け漏れ出やすい
改善ワザ
- 失敗カットはフリーズ(静止)+静止画で差し替え
- どうしても難しい場合は**クロマキー(色指定)**に切替
副業での使い所
- 自宅での物撮り背景をブランドカラーに差し替え
- 顔出しワイプ×画面録画のピクチャ・イン・ピクチャ
4. 自動リフレーム(縦横リサイズ+被写体追尾)
何ができる?
横長素材を縦長に再構成、被写体を中心に自動で追尾します。公式の“Auto Reframe”がデスクトップでも使えます。CapCut
手順
- 16:9素材をタイムラインへ
- 右パネル → 基本/Auto Reframe を有効化 → 9:16などの比率を選択
- 重要シーンだけ手動でフレーミング微調整(被写体の顔が切れないか確認)
検証ポイント
- 2人以上・素早い動きでフレーム外に出ることがある
- 文字要素(ホワイトボード等)が切り落ちる場合あり
改善ワザ
- 重要場面は手動キーフレームで“寄り”を補助
- 文字が多いシーンは別カット(画像差し込み)で逃がす
副業での使い所
- 横長の解説動画をリール/ショートに再利用
- 商品レビューをマルチプラットフォーム展開(YouTube→TikTok等)
5. ノイズ除去/ボイス強調(声の聞き取りやすさ)
何ができる?
環境ノイズの低減、声の明瞭化。CapCutのAIノイズ除去/ボイス強調はPC版でも案内があります。CapCut+2CapCut+2
手順
- クリップの音声(または抽出した音声)を選択
- Audio→Noise Reduction(ノイズ低減)を適用、必要に応じてEnhance Voice(ボイス強調)
- かけ過ぎると金属音になるので**20〜40%**から開始
検証ポイント
- 室内のエアコン・PCファン程度はきれいに落ちる
- 屋外の風切り音は残りやすい
- 長い残響(空室の“ボワン”)は軽減まで(完全除去は難しい)
改善ワザ
- 収録段階で口元20cm/壁から離す/簡易反響対策(布や本棚)
- ノイズ除去→**イコライザ(中域強調)**の順に処理
副業での使い所
- トーク主体の解説ショート
- 画面録画の後付けナレーション
6. 無音・フィラー除去(自動編集の時短)
何ができる?
“えー”“あのー”などのフィラー(つなぎ言葉)や無音区間の自動カットで、しゃべり動画のテンポを整えます。CapCutのデスクトップAI紹介でも「Remove Filler Words(つなぎ語句の除去)」が案内されています。CapCut
手順(目安)
- 音声トラックを選択 → 自動編集系のフィラー/無音カットを実行
- 仕上げに手動カットで細部を合わせる(自動の“切り過ぎ”を戻す)
検証ポイント
- 早口・言い直しが多い原稿は劇的に短縮
- BGMや効果音が強いと誤検出あり → 処理はBGMを置く前に
改善ワザ
- 重要説明の手前は意図的に“間”を残す(視聴者の理解が深まる)
- 1カットが2秒未満の連続は目が疲れる → 要所はあえて3〜4秒残す
副業での使い所
- 自己紹介・商品説明・レクチャー動画の時短編集
- ショート動画のテンポ調整
実戦ワークフロー(“60分で1本”の回し方)
- 台本を箇条書き(見出し+一言)
- 画面録画+簡単な自撮り(表情カット用)
- 自動字幕→誤字修正
- 必要に応じてTTSで不足ナレーションを足す
- 無音/フィラー除去でテンポ化
- ノイズ除去+BGMで聴きやすく
- 自動リフレームで縦長版も作成
- サムネ(Canva)→公開
大事なのは完成のスピード。60点でいいから出す→翌週70点に上げる。この回転が収益化の近道です。
つまずきやすい落とし穴と回避
- 字幕が読みにくい:白+黒縁、1文1テロップ、2.5〜4秒表示
- BGMがうるさい:BGMは-18〜-12dB、ナレ箇所はさらに-6〜-10dB
- 人物の縁がガタつく:背景除去は少しズーム+スムージング上げ
- 縦長にしたら文字が切れた:自動リフレーム後、見せ場だけ手動で補強
- PCが重い:素材を内蔵SSDへ、プレビュー品質を下げ、書き出しはH.264 1080p/30fpsから
どの順で使うと“結果”が出るか(50代・副業視点)
- 自動字幕で“無音でも伝わる”動画に
- TTSで声出しの不安を回避(慣れたら実声へ)
- 無音/フィラー除去でテンポを整える
- ノイズ除去で“聞き疲れ”をなくす
- 自動リフレームで縦長版も同時公開(SNS展開)
この5点を回すだけで、視聴完了率と滞在時間が底上げされます。ブログにも埋め込み、**記事の価値(有益性)**を体感で示しましょう。
おわりに――“AIの補助”で、あなたの伝えたいことを最短で形に
PC版CapCutのAI機能は、作る人のハードルを確実に下げてくれる存在です。
完全自動で“魔法の一本”が出るわけではありませんが、自動字幕/TTS/無音カット/ノイズ除去/自動リフレームを正しく組み合わせれば、無料でも副業に使える品質まで持っていけます。
今日の1本を、来週の2本に。積み上げが、必ず自信に変わります。